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兄の部屋の扉の前で二人は立ち止った。
もし、ノストラダムスがこの世のあらゆる疫災を予言できたのなら、この兄弟に関わろうとしているオレを止めて欲しかった。だが、そんな願いも虚しく扉を開いてしまう。
扉を開くと、悪夢は始まった。部屋の中はカーテンで明かりは遮られ薄暗く、不気味だった。
「お兄ちゃん――」
翔子がか細い声で芳行を呼んだ。
「来るな!」
芳行が叫んだ。
暗さに目が慣れてきた。よく見ると部屋の奥に芳行はいた。芳行は左目に眼帯を当てて、壁によりかっていた。
「翔子、それ以上オレに近づくな。いつオレの左目に封印されし邪王エフィスが目覚めるかわからない」芳行は翔子を睨みつけた。
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