運命は突然に

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暗い部屋にディスプレイの明かりだけが灯る。達也はキーボードを物凄い勢いで叩き始めた。ディスプレイには『welcome to butterfly』と映っている。普段は彰吾の同級というただの小学生の顔を演じているが、裏世界ではその名を知らない者はいないというくらい有名な天才ハッカー『アゲハ』という顔を持っている。  「中学生の行動範囲なんてたかが知れてる。警視庁のNシステムをハッキングさえすれば、すぐに見つかるはず」  Nシステムとは全国にいる警察が世の中に蔓延る悪者を監視する大変ありがたぁい防犯カメラネットワークシステムのことである。  達也はいくつももあるウインドウを次々に切り替えていく。 ファイアーウォールをダミープロログラムでかわし、インテリジェントゲートをサーチする。しばらくするとディスプレイにhitと文字が浮かぶ。  「ちょろいな」  達也がエンターキーを押すと、メインディスプレイの他に再度のディスプレイいっぱいに街の様子が浮かびあがる。達也が更に数回キーボードを叩くと、メインディスプレイに芳行の姿が映った。
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