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高位の式神は並の霊力の人間には見えない。悪いけど、手加減できないのよ。
「クソ、こんなところでエフィスの力を解放させるわけにはいけない。でも、オレは負けるわけにはいかない。邪道門『獄』解放!」
芳行はそう叫んで右手で少し眼帯を捲くった。
「そうか、感じるぞ。お前は今、鬼を召喚したのか」
芳行は呟いた。
「なっ、なぜそれを――」
芳行には私に式神が見えるっていうの?しかも、さっき言った邪道門。全く聞いたことがない術式。一体何の?
明葉は身動きがとれない。
「やっぱりか。安心しろ、オレはまだ力の一割しか出してない。だから、今はお前の召喚獣の気配しか感じられない。まだ遅くない。早く邪王の戦いから手を引け。お前には邪王の称号は重すぎる」
芳行は言い放った。
なっ、なんだと。芳行はまだ力を隠しているというのか。
明葉は一歩後退した。
「仕掛けないのならこっちから行くぞ」
芳行は腰をおろし姿勢を低くした。
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