58人が本棚に入れています
本棚に追加
さっきまで作文を読んでいた少女がお辞儀をしてステージを下りた。そして、今日のメインイベント、WBC(ワールド・バカ・カップ)王者、佐藤翔子が体育館のステージへ上がり作文を読み始めた。
「私はお兄さんが大好きです。私が困っていると、お兄さんはいつも助けてくれます。この前、私が算数の宿題に困っていると、お兄さんは宿題を手伝ってくれました。私はお兄さんみたいに優しい人になりたいです」
翔子は一礼して自分の席に戻った。
キャハッハッハ、腹痛ぇ。止めてくれ。新太郎は身体を左右に捩りもだえながら、苦しんだ。
そんなこんなで放課後。翔子は学校が終わると、家に向かって一目散に駆けだした。兄の芳行は一足早く夏休みに入っている。
お兄ちゃんはきっと私の帰りを待っている。今日は兄さんとゲームするんだ。今まで一回も勝ったことがないけど、今日なら勝てるかもしれない。
翔子はこれからの夏休みのことを思い浮かべながら、家に急いだ。
最初のコメントを投稿しよう!