日常の崩壊

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「ただいま!」  翔子は勢いよく玄関を開けた。靴を乱暴に脱ぎ捨て、兄さんの部屋へ向かった。  「兄さん、今日は僕が勝つからね!」  翔子が扉をあけると、芳行は寝転がりながらマンガを読んでいた。  「ごめん翔子、今日兄さん忙しいんだ。ゲームはまた今度な」  芳行はマンガから目を離さない。  「そんな、ねぇ」  翔子は芳行の腕を引っ張る。  「うるさいなぁ!兄さんは忙しいって、言ってるだろ!」  芳行は強引に翔子を振りはらった。  「お兄ちゃん――」  初めて見た芳行の怒りに困惑する彰吾。  「また今度な」  芳行はそう呟いて、再びマンガを読み始めた。翔子は力なく芳行の部屋を後にした。
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