58人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいま!」
翔子は勢いよく玄関を開けた。靴を乱暴に脱ぎ捨て、兄さんの部屋へ向かった。
「兄さん、今日は僕が勝つからね!」
翔子が扉をあけると、芳行は寝転がりながらマンガを読んでいた。
「ごめん翔子、今日兄さん忙しいんだ。ゲームはまた今度な」
芳行はマンガから目を離さない。
「そんな、ねぇ」
翔子は芳行の腕を引っ張る。
「うるさいなぁ!兄さんは忙しいって、言ってるだろ!」
芳行は強引に翔子を振りはらった。
「お兄ちゃん――」
初めて見た芳行の怒りに困惑する彰吾。
「また今度な」
芳行はそう呟いて、再びマンガを読み始めた。翔子は力なく芳行の部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!