日常の崩壊

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 金髪の少年は目にいっぱいの涙を浮かべながら刀を更に強く握りなおした。真っ暗な空と果てしなく続く荒野に拭き渡る強風。少年の髪が靡き、全身の傷からは止めどなく紅の液体が流れ落ちる。  「前田、まさかお前がヨハンの力を持っているなんてな」  少年は刀の切っ先を東間に向けた。東間は肩から腰にかけて深い切り傷がり、地面に寝そべっている。  オレがどうして前田を殺さなきゃいけないのか。もし、神がこの世にいるのならオレは許さない。  「明、オレがこうなるのはわかっていたはずだ」  前田は刀の先にいる圭を睨みつけた。  「前田はオレの背中をいつだって守ってくれた。オレは前田を助けたい!」  明は叫んだ。  「甘ったれるな!お前は邪王エフィスの血を宿した呪われし一族の最後の生き残りだ。エフィスを宿したお前とヨハンを宿したオレは相いれない存在なんだよ」
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