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…おやっ?
「やぁ、おはよう」
社内一の美人、秘書課の小林美樹が、通路の途中にある給湯室の前に立っていて、私はすれ違いながら声をかけた
彼女は軽く会釈をしたように見えたが、今は急いでいたので…
…何だか様子が変だったな?
気になって振り返ると、彼女の姿はなかった
…おかしいな?
さっきは一瞬だったが、
彼女の顔が真っ赤に見えた…
あれはいったい?
「チーフ?みんな揃ってますよ」
その声に振り向いた私の思考は、小林美樹の事を頭の片隅に追いやり、目の前の安藤静の事に切り替わっていた
「あぁ、すまん今行く」
言いながら歩き出した私の後に同歩しながら彼女は続けた
「私は今日10時に
海山商事との商談があるんです
だから急いで……」
「海山商事って…
磯野さんは元気かな?」
「いや、何でもない
了解したよ静くん」
私は彼女の言葉を切るように答えた
実はウインクもしていたのだが、正面を向いたままだったので彼女には見えなかっただろう
………テレクサクッテサァ
1‐8
ここだ…私に宛てがわれた部屋
ドアを開けた私は、大量のタバコの煙の洗礼を受けた
中へ入ると、男子社員は部屋の後の方にかたまり、ひとりとして座ってはいない
私は自分が、中学校の教諭にでもなったかのような錯覚に陥った
そして奴等は私の姿を見て…仕方ないなって感じでだらだらと席に着いた
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