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さて私は4階にある資料室へ向うことにした
…何故かって?
向うんだったら向うんだ
決して資料室にいる甘井香の姿を見に行くわけではない
2階通路をエレベーターに向う
途中にある給湯室をちらりと覗いてみたが、やはり小林美樹の姿はなかった
…当たり前だといえば、
当たり前なのだが…
…しかし分からないな
彼女はまた何だって
こんなところに居たんだ?
秘書課は5階のはずだが……
自慢ではないが、私の脳内コンピュータには、全女子社員のデータがインプットされている
彼女を見間違う事はない
………はずだ
エレベーターホールでは、2人の女子社員が何やらひそひそ話している
私は少し離れた位置から、素知らぬ顔で耳をダンボにしてみた
ケサ ハヤクダッテ トビオリタノ
[何だ?何を言ってるんだ?
飛び魚がどうしたって?]
フリンダッタラシイヨ
[風鈴?ますます分からん]
到着したエレベーターに
2人は乗り込みながらも会話は続いていた…
おいおい待ってくれ
話に夢中なのか、私がいるのに彼女らはエレベーターで行ってしまった
仕方なくエレベーターの前でつっ立っている私の後に、別の営業チームの男子社員数人が並んだ
モッタイナイヨナ マダワカクテ ビジンナノニ
エレベーターに乗り込みながらも、彼らの会話は続いていた
それにしてもむさ苦しい光景だ
こんな狭いエレベーターに…!?
閉まろとしているエレベーターの扉の向こうに、小林美樹が立っていた
扉は閉まり、軽い振動と同時にエレベーターは動き出した
…後に居たなら言えばいいのに
思う間にエレベーターは4階に着き、私は訳の分からない会話を続けている奴等を置き去りにエレベーターから飛び出した
資料室 甘井香
「あ~だり~な~」
…またメールだ…
こいつひつこい
…バイトで出会い系のサクラを始めたんやけど、ホンマダルいわ
ガチャ☆
「あっ、白鳥係長…
おはようございます~」
「おはよう…ん?」
甘井香は、私の姿を見て気まずそうに携帯を閉じた
いや、私が驚いたのは、そんな事じゃない
「どうかしましたかぁ?」
そう、そんなのんびりマイペースな甘井香の隣の席に、小林美樹が座っていたからだ
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