係長!白鳥武  其の1

7/29

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
  薄暗い通路はとても長く感じた ぽっんぽっんとダウンライトが点いているのだが、それが余計に不気味さを増している これではまるで、黄泉の国の入口じゃないか… 視界は激しく揺れている いや、これは全力で走っているからだ ようやく見えてきたエレベーターは、今まさに扉が閉じようとしている!? パタン☆ 勢い余ってエレベーターの扉に突っ込みそうになりながら、無意識に呼び出しボタンを連打していた カチャカチャカチャカチャカチャ カチャカチャカチャカチャカチャ しかし、階数表示は上へ上へと移動して行く 「バカやろー!」 私に残された道は階段しかなかった と、思うが早いか、体は既に階段へと向かっていた…我ながら素晴らしい反応だ…などと自己評価… 一瞬にゃけた私の目の前に現れた吹き抜け状の階段は、見上げると果てしなく続いて見えた 1階はショールーム仕立ての為、2階までは長い…タイムカードが置いてある3階までは、普通の建物の4階分はあるだろう Go ahead!! 私にはそれしかなかった 勢い昇り始めた私は、太ももに異変を感じた!? それは先日参加した社内ソフトボール大会の後遺症である筋肉痛の痛みだった だが、そんな事を言っている場合じやない 私はこのミッションをどうしてもやり遂げなければならないのだ なぜって…… 遅刻なんてしたらカッコ悪いじゃん! 私は昇った 階段の踊り場では、手摺りスレスレにクイックに、そして何より華麗にターンを決めながら… ワレナガラ カッコイイ カモ? そして遂に、3階にたどり着いたのだ ハーハー、ゼーゼー どっと汗が吹き出した 私は今昇ってきた階段を顧みた 遥か下の1階に、地獄の業火が見えた気がした  
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加