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薄暗い通路はとても長く感じた
ぽっんぽっんとダウンライトが点いているのだが、それが余計に不気味さを増している
これではまるで、黄泉の国の入口じゃないか…
視界は激しく揺れている
いや、これは全力で走っているからだ
ようやく見えてきたエレベーターは、今まさに扉が閉じようとしている!?
パタン☆
勢い余ってエレベーターの扉に突っ込みそうになりながら、無意識に呼び出しボタンを連打していた
カチャカチャカチャカチャカチャ
カチャカチャカチャカチャカチャ
しかし、階数表示は上へ上へと移動して行く
「バカやろー!」
私に残された道は階段しかなかった
と、思うが早いか、体は既に階段へと向かっていた…我ながら素晴らしい反応だ…などと自己評価…
一瞬にゃけた私の目の前に現れた吹き抜け状の階段は、見上げると果てしなく続いて見えた
1階はショールーム仕立ての為、2階までは長い…タイムカードが置いてある3階までは、普通の建物の4階分はあるだろう
Go ahead!!
私にはそれしかなかった
勢い昇り始めた私は、太ももに異変を感じた!?
それは先日参加した社内ソフトボール大会の後遺症である筋肉痛の痛みだった
だが、そんな事を言っている場合じやない
私はこのミッションをどうしてもやり遂げなければならないのだ
なぜって……
遅刻なんてしたらカッコ悪いじゃん!
私は昇った
階段の踊り場では、手摺りスレスレにクイックに、そして何より華麗にターンを決めながら…
ワレナガラ カッコイイ カモ?
そして遂に、3階にたどり着いたのだ
ハーハー、ゼーゼー
どっと汗が吹き出した
私は今昇ってきた階段を顧みた
遥か下の1階に、地獄の業火が見えた気がした
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