係長!白鳥武  其の1

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  い、いや待て こんなところで考えている場合ではない ミッションはまだ続いているのだ 私は振り返るや、3階の通路へと通じている鋼鉄製の扉のノブを掴んだ ガチャガチャ…? 開かない? …誰だー!?  鍵なんかかけたのはー!? 叫びながらドアノブをガチャガチャやっていると、ふいに扉が開いた …あ!なんだ押すんだ 鋼鉄製の扉から飛び出すと、3階通路は不気味な程静まりかえっている 私は脳内コンピュータの社内マップにアクセスし、位置を照らし合わせた …右だ! 通路を右へ進むと、突き当たりになり、右にしか行けない その角を曲がると見慣れた光景が目に飛び込んできた 大会議室… その脇の小部屋にタイムカードは置いてあるのだ 私は小部屋に飛び込むと、壁に掛けてあるカード差しから自分のタイムカードを探した …無い!? 何故だ!?落ち着け! 昨日の帰りはどうだった? いや、昨日は営業先から直帰したんだ…朝だ! 昨日の朝は…… やはり同じようにここでタイムカードを探して…た……えっ!? …そうだ思い出したぞ! …お・も・い・だ・し・た・ぞー!! 私はタイムカードを探すのを止め、そばにあるレコーダーを軽くポンポンと叩きながら思わずニンマリとした …フフ  役職に就いている私には… …最初からタイムカードなぞ  無かったのだー その瞬間、どこからともなくお寺の鐘の音のような… たぶん普通はチャイムと呼ぶだろう音が聞こえてきた …どこまでも悪趣味な会社だ💧 あぁ、だがまだのんびりとしてはいられない 朝の部署毎のミーティングがあるからだ これに私が出ない訳にはいかない 私はさっき駈け昇ってきた階段へ戻り、営業部のある2階へと降りた 2階にある営業部は、営業課の部屋とは別に、各チーム毎に部屋が10部屋程あるが、その内のひと部屋が私に与えられているのだ 通路はまだ数人がうろついている 私はそやつらを右に左に 「マトリックス!!」と叫びながらヒラヒラと交し自室へと急ぐ 1‐1 1‐2 1‐3…と、まるで小学校の教室のような室名札が各部屋の上に突き立てられている…  
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