我が儘な

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      「ねぇ、レオ。私、わ、私は、私はもう死ぬの?」  何をおっしゃるんですか?  お嬢様が死ぬ? そんな事あるわけないでしょう。あっても私が絶対にさせません。  そう誓ったのです。  私は私の命が尽きるまで――いや、尽きたとしても一生、お嬢様のご側を離れることはしないと。もし、害なす者があろうものなら指一本触れさせはしないと。彼女を守るのだと。  私は誓ったのです。 「れ、れ、レオ……」  お嬢様は、ベッドに腰掛けていました。  何故か顔を真っ赤にして一筋の涙を流していらっしゃいます。  私はなんだか無性に悲しくなりました。しかも塞き止められることもなく、意志とは無関係に心の中を暴れ巣食い汚しているのにも関わらず、その思いは大きくなっていく一方です。  耐えられないので、もう一度よくお嬢様を見ました。  全てが闇。  お嬢様は、髪の色も目の色も纏ったドレスの色も全てが闇に支配されたように、また光を拒むかのように黒かったのです。  しかし、実際は拒んでなんかいないと、昔、お嬢様は話して下さりました。その時の顔は今でも印象に残っています。  ――寂しい――  発達未熟で奇妙なくらい色白なお嬢様は、決して美少女なんかではありません。  むしろ気持ち悪いくらいに血色が良くなくて痩せていて幼くて頭が悪くて狂っていて。  そして、儚い。 「ねぇ、レオ。わ、私は醜い人間なのよ、よ。だから人間を信じないの、し、信じてくれない、いの、頼ら、らないの、頼られないの、の、好きにならいの、好きにな、なってく、くれないの、愛さないの、愛されないの。全て、ては私の…………」  お屋敷の人間は、私とお嬢様以外は死にました。違います、殺されました。    
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