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「ただいまぁ!」
「・・・お、お帰り。」
さっきの出来事の後、家に私が居ないと陽介に不審に思われる為先に家に帰ってきていた。
・・・いや、実を言うと現実逃避をしたかっただけなのだが。
不安がかくせない引き攣った表情のまま陽介に“お帰り”と言う。
《・・・もしかしたら家に有るものを使う可能性ってのもあるよな!?》
なんて思ってみる。
陽介は買ってきた物を机に並べだした。
その姿を見ていると、先程見掛けなかったものが目に入った。
そこで私は自分の目を疑った。
《な、ななな生クリーム!?
息子よ・・・一体何を作る気なんだ?》
♪~♪~
ピアニストの息子とは思えない程の音程の悪い鼻歌を楽しそうに歌いながらバナナの皮を剥く。
再び現実逃避をしようと別室にあるピアノに向かう。
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