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「ではまた。」
と、少し微笑んで感謝を告げ、大人しく去る私。
いっぱいいっぱいだった。
でも、いっぱいいっぱいながら、またまた確信した。
神様!!
これは神様がくれたチャンス!
勝負は明日。
その想いを24時間暖めて望んだ次の朝の電車。
先に乗ってやってくる彼を確認すると、もう自然に向く足。
まだ心臓はドキドキしてるけど、随分慣れてきた。
「あの。」
声をかける私が、彼の瞳に映る時には彼は微笑んでいた。
死んでもいい。
あ、いけない。
自分から声をかけたのに時間を止めてしまった。
掴まると離せなくなる彼の視線から一瞬目を離し、
改めてお礼を伝えた。
そして何度も繰り返し妄想してきた言葉を‥
言いたくても言えなくて‥
「お仕事はあの駅からすぐなんですか?」とか、
何気なくも貴重な会話をいかにも自然を装い続ける。
ほら、少しずつ近付いていく。
次はいつもの降車駅。
「今度‥」
会話が途切れた時に口走ってしまった。
言わなくちゃ。
言わなくちゃ!!
「コーヒーでもおごらせてください。」
言っちゃった!!
言っちゃった。
気分を害したかな。
なんて言って断ろうとか思ってたりするのかな。
外した視線を必死に戻して
恐る恐るみた彼は‥
微笑んでいた。
「ありがとう。ごちそうになるよ。」
死んでもいい!
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