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楽しみはゆっくりゆっくり味わいたくて
ディトの日は翌週明けにしてみた。
次の朝、声をかけるべきかかけまいべきか、迷いながら電車に乗り込むと
彼の方から微笑みかけてくれ、自然に隣に立つことができた。
なんて幸せ!
あまりの気まずさに、乗り込む車両をずらすことも考えたけど、
余計な事をしなくて良かった。
希望があるのなら、自分からそのチャンスを逃すような事をしてはいけないんだ。
ディトの日まで、私たちは毎朝色んな質問をしあって、彼の事を沢山知ることが出来た。
彼は事務の仕事をしていること。
彼は私の2つ前の駅から乗り込んでくること。
彼は一人暮らしをしていること。
彼が好きな食べ物はロールキャベツ。
(苦手料理につき、要練習!)
そして彼女はいないこと。
半年前に別れている。
物憂げな顔も好きだけど
笑顔も素敵なこと。
そして連絡先の交換をして、いよいよディトの日。
普段持ち歩きもしないのに、化粧直しのために化粧ポーチも持参した。
彼女にしてもいいなって思ってもらえるように、
なるべく素敵な私でいたい。
「あれ。もしかして今日は気合い入れてくれてる?」
!!‥バレた!
確かにいつもの仕事優先の格好ではなく、
お気に入りのワンピースを着ていた私。
良く考えたら朝会うのに、夜のディトの事に夢中で、バレる事が想定外だった私は焦った。
分かりやすすぎる私に情けなくなってしまう。
男性が魅了されて離れない、小悪魔的な女になりたいのに‥
「嬉しいよ、ありがとう。」
微笑む彼に気持ちを掴まれると、クチャってしてペィってされてしまいそうで怖い。
今まで沢山の人に弄ばれてきた私。
私が素直すぎるからこそ、素敵な人には先に気持ちがばれて避けられ、
その寂しさをまぎらわせるために、遊び人の人に好きなだけ遊ばれてきた。
今までの経験上、優しい彼は後者なのか?
ただの憧れだった頃と違い、一歩ずつ距離が近付く度に、彼の中身が分からなくて不安になっていく。
その日は夜19時に待ち合わせをした。
時間も時間なので、結局コーヒーではなくパスタを食べに行くことになった。
駅の外、初体験。
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