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はじまる
私の方が職場が遠いから、余裕をもって時間を設定していた。
でもいざ仕事が終わってみると意外にもギリギリで、走って駅まで向かった。
お化粧直しもできないまま、待ち合わせの駅につきトイレに駆け込もうとした瞬間に、改札前にいた彼を見つけてしまった。
待ち合わせ5分前。
でも待たせてしまっている事への罪悪感から、お化粧直しを諦めて改札を出た。
彼が近付く度に、可愛くない自分に後悔しながらも、仕方がないんだと言い聞かせ、
今度は仕事帰りではなく、1日お休みの日にキレイなままの私を見てもらうんだって思った。
距離が縮まり、高鳴る鼓動とは裏腹に冷静になっていく思考回路。
人はいざって時には冷静になろうと自動的に頑張れるんだ。
「遅くなってごめんなさい。」
言ってしまってからも、お化粧直しをしなかった事を後悔していた。
「お疲れさま。
行ってみたいお店を見つけたよ。」
優柔不断だって伝えていた私のために、彼はお店まで選んでくれていた。
その優しさが嬉しくて、お化粧を気にしすぎていた自分に後悔した。
今日はこの時間を大切にしよう。
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