─春蘭─

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私は小さい頃から要領が悪かった。 何をしても、並かそれ以下。 加えて容姿も人の噂にたつほどじゃない。 お父様もきっと手をやいていたんじゃないかしら。 だって口癖は、お前の婿は見つかるのかそれだけが心配だ、だもの。 郷は鼻から頬にかけて広がるそばかすを数えながら鏡に映る自分を眺めた。 野暮ったい目に低い鼻、唯一の取り柄といえばまっすぐな髪と長い睫毛ぐらいだろうか。 彼女は恒例になりつつあるため息をもらした。
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