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ニヤリと姫様が嫌な笑みを浮かべる。
その手には……って、あれ!
「姫様!それは国宝のっ!!」
「神の風よ!我が敵を葬り去れっ!!」
我が国の国宝、神の風という巨大な扇子(どこに隠し持ってたんだ?この方は……)から放たれた真空の刃がアッサリと向かってきた盗賊団を倒した。
……乱戦に持ち込まれる前に倒したよ、このお姫様。
「ふふん!正義は勝つのよ!!さあ、プラム!宝の場所をはかせなさいっ!!」
「……はい、姫様」
こうなった姫様に逆らうことは無理なので、そこらへんの頭っぽいのを捕まえて宝の場所をはかせる。
ブツブツと文句を言ったが、そのつど姫様が攻撃魔法の呪文を唱え始めたので、サクサクと答えてくれた。
……私がここにいる意味ってあるんだろうか?
鳩で騎士団を呼び、盗賊団の捕縛(とはいっても、大半がそのまま病院行きだ)とアジトの片付け、埋もれた宝及び盗賊団の救出などをしている間に、姫様がフラリと歩き出す。
「姫様!どこへ行かれるのですか?!」
「決まってるでしょ。次の盗賊団よ」
はいぃ?!
「嘆かわしいことに、わが国には盗賊団がまだまだ10ぐらいいるのよ?!」
「……それは、少ない方では」
しかもそのほとんどが、盗みしかせず、冒険者にすら相手にされてないレベルの奴らばかりだ。
なにせうちの国は……
「安全にそこらへんで昼寝出来る国第一位の座、誰にも渡すわけにはいかないのよっ!!」
……とことん、平和な国だから。
農作物が主な生産、お国柄はのんびり、穏やか、のほほん。
しかも周りが海に囲まれた孤島で、こんな辺鄙なところまでわざわざ戦争しにくる国すらない。
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