いち

5/6
前へ
/6ページ
次へ
が  ニヤリと姫様が嫌な笑みを浮かべる。  その手には……って、あれ! 「姫様!それは国宝のっ!!」 「神の風よ!我が敵を葬り去れっ!!」  我が国の国宝、神の風という巨大な扇子(どこに隠し持ってたんだ?この方は……)から放たれた真空の刃がアッサリと向かってきた盗賊団を倒した。  ……乱戦に持ち込まれる前に倒したよ、このお姫様。 「ふふん!正義は勝つのよ!!さあ、プラム!宝の場所をはかせなさいっ!!」 「……はい、姫様」  こうなった姫様に逆らうことは無理なので、そこらへんの頭っぽいのを捕まえて宝の場所をはかせる。  ブツブツと文句を言ったが、そのつど姫様が攻撃魔法の呪文を唱え始めたので、サクサクと答えてくれた。  ……私がここにいる意味ってあるんだろうか?  鳩で騎士団を呼び、盗賊団の捕縛(とはいっても、大半がそのまま病院行きだ)とアジトの片付け、埋もれた宝及び盗賊団の救出などをしている間に、姫様がフラリと歩き出す。 「姫様!どこへ行かれるのですか?!」 「決まってるでしょ。次の盗賊団よ」  はいぃ?! 「嘆かわしいことに、わが国には盗賊団がまだまだ10ぐらいいるのよ?!」 「……それは、少ない方では」  しかもそのほとんどが、盗みしかせず、冒険者にすら相手にされてないレベルの奴らばかりだ。  なにせうちの国は…… 「安全にそこらへんで昼寝出来る国第一位の座、誰にも渡すわけにはいかないのよっ!!」  ……とことん、平和な国だから。  農作物が主な生産、お国柄はのんびり、穏やか、のほほん。  しかも周りが海に囲まれた孤島で、こんな辺鄙なところまでわざわざ戦争しにくる国すらない。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加