密林探索と王立騎士団

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彼女が、兜を外した真剣な表情の部下達に檄を飛ばすと、彼らは、全くずれることなく息を合わせたように大声で了解の返事をする。すると、それの大きさは部屋が揺れるほどの物であり、その光景はまさに圧巻であった。 「すみませんが、何処か彼らが体を休められる場所はありませんか? 広い場所でしたら、何処でもかまいませんので……」 「あ……ああ、それなら俺の家を使ってくれ。親父もお袋も、あの一件以来、ショックで部屋に籠っちまったから、部屋が余ってんだ」 「そうですか。では、申し訳ありませんが、使用させて頂きます。……それと、後一つお聞きしたいのですが……」 「ん? 何だ?」 エルフィは、人差し指を伸ばした右腕を真っ直ぐ上げると、少し眉を潜めた怪訝そうな顔つきで口を開く。 「窓の外からこちらを見ているあの女性は、一体どなたですか?」 ――ばれてた。 エルフィが指差す先にいた女性――ミスティアは、バレていたことにびくりと動きながらそう思うと、此方を見て声は届かないが、自分の説明をしてくれているのだろうサルサと王立騎士団隊長である女性に対して苦笑い浮かべた。 「……ではミスティアさんは、最近この国で噂されている旅商人のお連れの方なんですね?」 「はい。……まあ、正確には、訳あってお供させてもらっている者ですが……。」 あの後、部屋へと入ったミスティアは、サルサの仲介の下、エルフィと自己紹介を交わし、現在一緒に街を歩きながら会話をしている。 街には、サルサの家から出て、鎧を脱ぎ、汗を拭いている騎士や、自分の剣を研ぐ騎士がおり、皆一様に仲間と会話をしている。そのため、彼らが来るまでの静けさが嘘のように街は賑わっている。 「それにしても、女性なのに隊長なんて凄いですね。尊敬します」 「……別に凄くはないですよ。ただ人より努力をしただけですし……周りの男達が私より弱かっただけです」 「はは……。厳しいですね」 ミスティアは、何気なく自分がふと感じたことを口に出すと、笑顔を浮かべていたエルフィが、少し間を空けた後、真剣な表情で周りにいる部下を見ながら彼女に答える。 その答えを聞いたミスティアは、想像とずれたのか再び苦笑を浮かべていた。
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