ふたりのはじまり

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―ガラガラガラッ― 私は職員室のドアを静かに開けた。 「あのぉ、すいませ~ん……」 お母さんと転校の手続きをしに来たときに、 「新学期の朝は職員室に来るように」 そう言われてたから、職員室のドアを開けたまではよかった。だけど、担任の先生が見当たらず、言葉に詰まった。 「どうしたの?」 若い女の先生が声をかけてきた。 「あ、あのぉ稲森ですけど」 「いなもりさん?」 「あっ、はい。今日からこの学校に……」 そう言いかけたとき、 「おぉ、稲森かっ!こっちだ、こっち!」 担任の先生だ。 見た感じは山男。髪はボサボサでヒゲめボウボウ。身なりなんか全然気にしていないような男の先生。 「おい、稲森!髪の色!新学期までは元に戻してこいって言っただろうが。それになんだ、そのスカートの丈はっ!」 あぁ……そうだったっけ。忘れてた。けど別に金髪ってワケじゃないんだし、いいじゃん、このぐらい。 「ん~稲森、隣の指導室で待ってろ」 指導室でなにすんの。説教!? 指導室のドアを開けて中に入る。
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