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先生を待ってるあいだ、私は指導室の窓から外を眺めていた。
―ガチャ―
先生が来たんだと思って、ドアのほうに視線をやった。
「あ……れ?」
思わず声が出てしまった。そこにいたのは先生じゃなかったから。
「さっきの駄菓子屋にたむろってた人たちの中の誰か……かな?」
その男の子の髪は見事な金髪。
「この人も髪のことで指導室に来たんだ……」
男の子をぼんやりと見つめながら、そう思った。
「なに見てんだよ。……っつーかお前、誰?」
「はっ!わっ……私!?」
いきなり話しかけられて驚いた。
声、裏返っちゃうし、どもっちゃうし、恥ずかしい。
「そう、わ・た・し!お前この学校にいたっけかぁ」
「いや……転校生」
顔が赤いのがわかる。下を向いて素っ気なく答えた。
「ふ~ん。あっそ」
会話はそれで終わった。
シーンとする指導室。
「おぉ、待たせたな」
山男先生が勢いよくドアを開けて入ってきた。
「とりあえず時間がねぇから、これ使え」
そう言って差し出されたのは、髪を黒くするスプレー。
はぁ!?マジでぇ!?最悪なんだけど。
「早く済ませろよ。始業式始まるからなっ。終わったら職員室に来いよ」
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