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「ウチらはもうオーブなんかに興味無い。邪魔せん限りは狙いまへんよって」
「は……!? オイ、嘘吐くんじゃねーよ!」
「嘘やと思うならそうし。ウチらの目的はな、ギルド本部の散力化。上で暴れとるんもロイヤルナイトたらやろ」
ロイヤルナイトが……!? 動けないんじゃなかったのかよ!?
その一瞬の戸惑いの間に、漆黒の魔法陣から風が巻き起こりナデシコの周りを旋回する。
「ギルドの目も逸らせたやろし……組織の仕事も終わった頃やろ」
「ッ、ナデシコ! そんな嘘はどうでもいい! フェイの妹はどこだ!?」
それが俺らの目的なんだ! コイツを逃がそうが関係無い!
「ああ……せやな、一応〝退けた〟っちゅう事やし、ええわ。ほれ、これが鍵」
音を立てながら長い金色の鍵が放られた。
「鍵……!? オイ! フェイの妹は何処に居んだよ!? 教えろテメェ!」
「お兄やん。あんさんは〝勝って〟は無いんや。世の中、そこまで甘うないんよ?」
クスリと笑って、ナデシコを纏う黒い風がより一層濃くなる。
俺がもう一度叫んだ時──既にその場所に、黒の着物姿は消えていた。
地下の破壊の音が、やけに耳に響く。
──違う、考えろ、今俺がやるべき事は……!
俺は投げられた鍵を拾って走る。後ろ、二十米程後ろの仲間の元に。
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