─黙示録─

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 遂に、大きな岩盤が降り出した。それらが土に叩きつけられる音が、辺りを支配する。  亀裂は深く刻み込まれ、揺れと共に無機質な穴を開いてゆく。 「ふざけないでよ! アンタはどうする気!? これが最後の魔力なんでしょ!?」  縫い付けられた足に構わず、エルが体勢を前に突き出して叫ぶ。  その内容。フェイの真実。 「最後の……魔力?」  思い出す。  血塗れの廊下で、上級魔法で俺達を助け、使い魔に代償の魔力を渡した上に、消費量の想像すら着かない、最上級魔法を放った。  俺達が見ただけで、それだ。この場に来るまでに、何も無かったとは限らない。  多大な魔力を消費したフェイの台詞。  『私とて、無駄な魔力はもうありません』  残酷、辛辣、卑怯──そう思わされたあの行為は、俺達を逃がす為の魔力だったから、使わなかっただけ。  最悪の場合、俺達だけでも逃がす為の。 「俺達の、為だったのか……?」  光が強くなり、最早視界は白一色に染まった。  無我夢中でフェイの名を呼ぶ中で、微笑んでいる奴から、丁寧語が聞こえた。 「……また会えますよ。私を誰だと思っているんですか?」  おどけた様な、からかう様な。  それでいて何処か楽しそうな、〝俺達が知っている〟フェイの声が聞こえて、  ……俺達は、転移した。降り注ぐ岩盤が埋めてゆく、地下のフィールドから。
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