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* * *
──リィーン総合病院──
「……ふぅっ。カルテ終了っ。それにしても、久しぶりじゃないシャオ」
「へっへへー。そだね、シズクと会うのは久しぶりかも」
カイルの診察を終え、診断結果の記録に筆を走らせていたシズクは、来訪してきたシャオに向き合う。
並んだベッドにそれぞれが腰掛け、寛ぎながら笑い合っていた。
「それにしても、シズクがお医者さんしてるんだもんねー。実際見てるとカッコ良かったよ」
シャオがシズクの白衣姿を見ながら、感嘆の声を洩らす。
彼女は肩を竦め、それに伴い橙色のポニーテールが宙を揺れる。
「本職は保健医だってば。肩書きは教師よ。シャオはずっとギルド勤め?」
「うんっ。それでも、充実はしてるよ?」
それを聞いて、シズクは苦笑い。信じられないといった体だ。
「ギルド勤めがねぇ……。充実の定義にも依るけど、とにかくアンタは昔っから男に興味とか無かったもんね」
「む、そんなことはないよ? それにみんな良い人ばっかりだったじゃない」
「その台詞で何人の男が勘違いした事か……。ギルドの男にも同情するよ」
やれやれとため息を吐いた後、シズクは更に続けた。
「好きな人とか居ないの?」
「んー? んー……じゃあさ、ちょっとだけさ、聞いても良い?」
「お、珍しいね。良いよ、聞いて聞いて」
食いつくとは思っていなかったシズクは、乗り出すようにシャオに迫る。
今は静かに閉じている部屋の戸を見ながら、シャオは僅かにはにかんで、
「レイン君って、好きな人居るのかな……」
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