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『……で、仕事は終わりはったん?』
『どないしたんや扇子の。なんや怒っとんのかいな』
『あんさんには関係ありまへん。喋りが似とりますさかい、ウチには話し掛けんとっておくれやす』
『つれへんなぁ、普通やったら意気投合やっちゅうのに。まぁワイも、別段そこまで気にしとる訳ちゃうけどや』
『……私語、厳禁』
『タナトスの言ウ通りだネ。毎度毎度騒がシイんだヨ君たチハ』
『なんや……上からほざきよるやんけ』
『君よリは上だト自負してイるヨ』
『ドクトル、キミも騒がしくなってるよ。うん、つられてる』
『喋るな阿呆が。王の御前だ』
六つの声が交差した後、また影の世界は静寂に戻る。
声。
言ってみれば、〝声〟という生き物がその場に集まっていた。
そして更に、声が一つ。
『構わん。楽にしろよ。地下の一件のおかげで、作戦も順調だ……良くやったな。ナデシコ、クィンハート』
『……別に、あんさんの為やおまへん』
『あくまでも、自分の為。うん、利害一致』
『おい……』
『構わんサスケ。別段俺が上に居る訳じゃない以上、丁度良いというものだ』
凄惨な含み笑いが一つだけ響き、しかし周りは無反応。
あまりにも、協調性というものには欠けていた。いや、必要とすらしてない風だ。
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