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「──用件を言え」
「待てレインっ! 俺の目から赤い涙が出てない!?」
「俺にはお前のポケットに入った双眼鏡しか見えない」
残念だ。友人が犯罪者になるのを止められなかった。
案の定、俺の部屋を訪ねて来たのは制服に身を包んだカイル。
短い茶髪に血色の良い肌からは、爽やかさが全面に出されていた。
……目から赤い汁さえ出ていなければ。
「もう一度聞く。何をしに来た」
「覗きをしよう」
「あ、もしもしシズク先生ですか? 女装希望者が一人「レイン、お前は俺を殺す気か?」
そう言って俺の生徒手帳の電源ボタンを連打するカイル。
確かにあの人に捕まれば精神的に死に追いやられるだろう。
「それに、俺はお前の事を思っての提案だ」
「ポケットから欲望が零れてるヤツが何を」
カイルは双眼鏡を寮の外へと涙ながらに投げ捨ててから、俺に向き合った。
血の涙が普通の涙と混じって大変だ。
いや、変態か。
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