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* * *
「予鈴のチャイムだ」
「……さっきまでの俺を殴りたい」
ヤル気満々なカイルとは対称的に、正気に戻った俺。
さっきまではどうかしていたらしい。
俺達は今、プールサイドの屋根上、カイル曰くベストポジションに居る。
「今更だぜレイン。〝男〟に二言は?」
「ねェ」
男というワードに反応してしまう。
これはもう、人間として仕方ない事だと言っても過言ではないんじゃなかろうか。
「つーか……眠い」
未だ眠気が抜けない為に欠伸が止まらない。
それを見たカイルは、何故かフッと小さく笑った。
「安心しろ、眠気なんざスグに吹っ飛ぶ」
「安心できるか。こんな犯罪めいモふっ」
急にカイルに口を塞がれた。何をしてくれんだよ、息が苦しい。
「んーっ、んー!」
〈しっ! 来たようだぜ……〉
獲物を狙うカイルの目線の先には、水着に着替えた生徒達が。
五月にプールが開ける辺り、アテリアの気候は幾分か暖かいのかもしれない。
もしくは魔法で何かしてるかだな。
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