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「それにしても…」 アルディが灯りをモンスターに当て、呟く。 「気になる事を言っていたな」 「そうですね。町の外から来たとは言ってない、とか何とか」 ティニアが言葉を返す。 「外からでないとすると、中か…ん? そういやゲートがどうのとか言ってなかったか?」 ゲート。それは一体どこにあるのか。オリビアの町の中である事は確かなようだが、皆目見当が付かない。 「…ここも危険かも知れない、という訳だな。一旦戻ろう」 「そうだな。あまりここには居たくない」 ラークが、モンスターの死骸から目をそらして、アルディに同意する。 エレベーターまで戻り、アルディがパネルを操作する。その時、またおかしな空気を感じ、ラークはある一点を振り返った。 「…あ…」 そこには、やはり先程と同じイメージの白い影。敵意は感じないが、何かを伝えようとしている感じがする。影は、ふっと手を上にあげ、囁いた。 「う…え」 「…上?」 ラークが静かな声で聞き返すが、影はやはりそこで消えてしまった。 「…? ラーク、どうかしたの?」 ティニアが、様子のおかしいラークに声をかけた。 「今、白い影が…」 「影?」 「女の声で、上って…」 ティニアは神妙な顔つきでラークの話を聞いていたが、急にぷっと笑った。 「やぁだ、ラークってば。私を怖がらせようとしてるの? 無理よ、だって私、モンスターもあんまり怖くなかったもん」 彼女には、先程の声は聞こえなかったのか。信じてはくれない様子なので、ラークもこれ以上は言わない事にした。
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