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―――がちゃ
「ただいまー‥」
3年前までは、
俺が帰ると玄関まで
バタバタ走ってきたジュンス
今では玄関には、
ジュンスが誕生日にくれた
アロマが微かな香りを漂わせながら
置かれている
「あー‥疲れたー」
何気なくベッドに倒れ込んで
目を閉じた時
暖かい滴が頬を伝うのがわかった
―――その時、突然
もう二度と感じられないはずの
懐かしい、
甘くて愛しい香りがしたんだ
「え…?」
俺が帰ると玄関まで
バタバタと走ってきたあの香り
腕の中に感じていた体温と
当たり前のように毎日隣にあった
あの香りが
思わずぱっと目を開いて
辺りを見回す
「今確かに…‥」
「ゆの」
瞬間、あの時愛した
懐かしいハスキーボイスが
耳を掠めた
「ジュンス…!?」
「ゆの‥会いたかった」
もちろん俺は訳が分からなくて
声の主を見つめたまま
ただ立ちすくんでいた
その時ふと我に帰って咄嗟に尋ねる
「何で………」
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