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それは深夜、一本の電話から始まった。
病院からの遺体搬送。
俺は、すぐに支度を整え、病院へと向かった。
霊安室へと続くタイル地の廊下に靴音が響きわたる。
カッ、カッ、カッ。
そこで対面した仏さん、そして寄り添う様に座ってる老婦人。
いつも通りに準備をし、仏さんを搬送車へと移動させる。
老婦人はタクシーで病院へ来た様なので、搬送車に同乗していただき、自宅へと向かった。
住所はナビに登録した。
ナビゲーション通りに帰りますが、通りたい所があれば遠慮なく言ってください。
俺は、それだけを老婦人に伝え、病院を出発した。
深夜と言う事もあり、順調に進む搬送路。
しかし、途中で老婦人が口を開いた。
この先を右に曲がってください。
俺は、かしこまりました。と、だけ言い、指示通りに曲がる。
次を左へ。
次を右へ。
俺は、老婦人の言う通りに搬送車を走らせる。
おかしい。
道は幅も狭くなり、街灯も少なく、細い河川敷のサイクリングロードの様な所を走り始めた。
そして、ついには車止めに辿り付いてしまった。
俺は、不審に思い、ルームミラーごしに、老婦人に尋ねた。
奥さま?
すると、老婦人は身の毛もよだつ言葉を口にした。
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