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「安心しろぉ。テメェの心臓ひと突きして痛むヒマも与えねぇようにしてやるよぉ。そのあとは…ゆっくりご馳走になるぜぇ…。」
狂ったかのような表情で直人を見るロイ。
(…もう…ボクはダメなのかな…。
…………いや…どうせ生きていたってこれからの人生なんて…)
自分の希望のない未来を悟り、後ずさりする足を止めた直人。その目からはいつも以上の生気の無さが感じられた。
その様子を見てロイは、
「ついに観念したかぁ?クク……その目…イイ感じになってきたぁ!
ひとつ言っとくがなぁ、俺だってなぁ、一応命ある生物を食うときゃあ心を痛めながら食ってんだぜぇ。」
と言ったが、ギラリとした目でヨダレを垂らしながら直人を見る姿は良心など微塵も感じられなかった。
するとロイは右腕を高く振り上げた。その途端右腕に禍々しいほどの黒いオーラがまとわりつく。
「直人ぉ…。俺ェのこの力を見て逝けるんだぁぜぇ。テメェは幸せモンだぁ。」
直人はロイの振り上げた腕を見て再び恐怖が襲ってきた。
だが冷や汗を拭うと視界に入らないよう目を閉じ、覚悟を決めた。
と同時にロイは直人の左胸目掛けてオーラの纏った腕を突き出した。
…春哉…ボクのいいとこってなんだったのかな…?
迫りくる最後の瞬間の最中、直人は今までの自分の人生の一部が脳裏にフラッシュバックしていた。
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