一章 橘慶

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残った女は二十代後半に見えた。慶を見てあきらかに怯えている。 慶は口から血を流して、まるで血に飢えた美しい獣の様だ。 「俺の目を見ろ。」 すると、女の目は慶にくぎ付けになり、体まで硬直した様に動かなくなった。 慶は女に近付くと優しく言った。 「今から貴女を人間に戻してあげます。記憶も吸血鬼の血も無くなるでしょう。普通の人生を送りなさい。」 次に女が目を覚ました時は、自分の部屋のベットの上だった。
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