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ある住宅街の一角にその少年の家はあった。表札には「橘」の一文字。
夜中なのにひとつだけ明かりがついている部屋の中に、彼はいた。
賢そうな少年。歳は17だが、父親がイギリス人のハーフであるためか、大人っぽい端整な顔だちをしていた。
読んでいた本を閉じ、明かりを消そうとした時、窓の外に異様な気配を感じてはっとした。
彼は普段から冷静で温厚だったので、慌てる風でもなく窓を開けた。
外は桜が満開の季節なのに、異常気象が雪を降らせていた。雪が降る音しか感じ取れない中、突然聞こえてきた声にはっと見上げた。
「たちばな けい、とは君で間違いないか。」
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