一章 橘慶

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15:30 下校途中 「つけて来てるな。」 頭の上からレイの声が聞こえる。 「ああ。しかも、やっかいな事になりそうだ。」 慶はそう言うと、向きを変えて今歩いてきた方に歩き始めた。 すると、家の陰に隠れていた陟が慌てて逃げ場を探していた。 が、慶がその肩を掴んだ。 「やっぱり聞いてたんだね。」 「あ…う……」 陟は慶の切れ長の目を見て呻くしかなかった。 「早く帰れ。君が何を……遅かったか……。」 慶が振り向くと、そこには目を赤く光らせた男女五人がこちらに近寄って来ていた。
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