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そういった後場が制止した。まるで空気まで凍ったみたい止まったんだ
すると兄貴は俺に笑いかけた
半年前まで体には贅肉がつき、妹の千香に肉だるまって罵られてた兄貴じゃない
体を酷使し、かつての半分も体重が落ちたそこにはいた兄貴は、社会の辛さや清濁をしっかりと噛み締めた男が出せる玄人の笑顔がそこにあった
兄貴は静かに立ち上がると
「家はゲームで知り合った奴とルームシェアする。仕事もルームシェアするとこの近くにある会社からヘッドハンティングされてね。今の会社よりも遥かにいい条件で雇って貰えることになった。」
淡々と説明する兄貴、三人の表情は固まったまま
「荷物も全部纏めたし明日には引っ越しの業者が来る……だから……今までお世話になりました」
深々と頭を下げた兄貴に皆誰も口を発することが出来なかった
たっぷり10分は時間が立っただろうか……父さんの発した言葉は一つだけ
「勝手にしろ、二度と家の敷居を跨ぐな」
恐ろしく冷たい一言だった
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