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それから1週間、何もなく何事もなく過ぎた。
アイツ、結局全部ウソで何も話さねえんじゃないか。とか思ったが、その考えはそれから2日後に否定された。
2時間目の休み時間。
オレの席の右斜め前、クラスのリーダー的存在である大塚夏二(おおつかなつじ)のところで、記憶に残らない面白味のない話に相づちを打っているとき、ガシャンっと大きな音がした。
ごめんなさい、と言われ振り向いたら木々崎がオレに向かってしゃべっていた。
「たまたま偶然あなたの席の隣を歩いていたら、たまたま偶然あなたの机を蹴ってしまったわ。本当にごめんなさい。」
木々崎は申し訳ない気持ちがない様なしゃべりで、オレに謝った。
もうちょっと申し訳なさそうにしゃべれよ。とか思ったが、問題はそこではなかった。
あいつはバカだ。
あいつはアホだ。
そりゃあそうか。
7人を殺すような奴だもんな。
で、その木々崎が起こしたバカでアホな問題ってのは机の被害規模。
さしずめ、『オレの机地震』の震度とマグニチュード。
震度7強、マグニチュード9.2。ってところだな。
机はひっくり返っていて、脚が上を向いていた。机の中に入っていたペンケースやら教科書やらノートやらが床にバラバラに散らばっていた。
周りの机までもが多少の被害を受けていた。
これはアレだぞ。
イジメられてる人がやられるやつだぞ!
木々崎はそんなこと気にせずに、スタスタと歩いていって教室から出ていってしまった。
つか、アイツ、教室から出るとき一瞬ニヤってしやがったぞ。
お前木々崎に何かしたのか?、って夏二に意味ありげな顔をしながら聞いてきたが、特に答えることはしなかった。
つか、こいつはホントにカッコいい顔してんなー。
やっぱ学校1の美女に似合う奴はこいつしかいないよな、って改めて思った。
夏二はその学校1の美女と付き合っているのだ。
いつもラブラブだ。
あっ!
でも木々崎が来てから1位かどうかは微妙になった。
みんな的にはそれを認めたくないみたいだけど。
で、またオレの机の周りを見た。
悲惨だ。
まぁ過ぎたことは気にしたところで変わらないことだ。
というより、オレは今嬉しいんだ。
1週間と2日待った(普通に過ごしただけだが)甲斐がある。
ニヤニヤしながら片付けていたら夏二から、美女にかまわれたからってニヤニヤしすぎだろー気持ち悪いぞ、って言われた。
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