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「私が前にいた学校の事件は知ってるでしょう?」
と木々崎鏡花(ききざききょうか)は無表情で言った。
放課後の教室で。
木々崎はオレが高2になるときに転校してきた。
彼女は、すごくキレイだ。
転校してきた頃は、近寄る男子も多かった。
しかし彼女は冷たい態度をとっていた。
それと彼女が転校してきた理由が分かったことで、近寄る男子はいなくなった。
それと同時に女子も近寄ることがなくなった。
その理由のせいで。
「あんな事件があって知らない人なんて、家にテレビがない人ぐらいしかいないわよね。」
またも彼女は無表情で言った。
「ああ、知ってるよ。『夢を叶えた7人』だろ。」
この事件はテレビを持ってない人でも知ってるんではないだろうか。
内容はそのまんま。
小学校の時の文集に書いた夢を叶えた、という事件。
最低な形で。
「そうそう。楽しい事件だったわよね。」
「別に楽しくはないだろう。最近では1番ヒドい事件じゃないのか?」
「そう?そうだったかしら。」
「あぁ、楽しくはねぇーよ。」
そう、楽しくなんてない。
男子5人と女子2人が夢を叶えた。
全員は覚えてないが、その7人の内の1人の男の夢が叶えられた状況はほぼカンペキに覚えてる。
そいつの夢は、鳥になって空を飛びたい、だった。
小学校の文集だからどれくらい本気なのかは分からないが、叶えられ方は不本意だっただろう。
そいつは、屋上からぶら下げられていた。
頭と腹にナイフが突き刺さっていて、肩甲骨が両方とも折られ、肉を突き破り、鳥の翼の骨の様に飛び出ていた。
頭と腹と背中から流れ出た血が地面に滴り落ちて赤く染めていた。
口の中にはミミズが大量に入っていた。
そして、そいつを食べに来たカラスが目を突いて、目が2つの虚ろな穴になっていた。
もともと一連の事件に興味があったオレは、友達の連絡を受けてすぐに見に行った。
しかし、あまりの腐臭とおぞましさに、オレは見た瞬間吐きそうになった。
そうゆうことが7人に連続して起こった事件。
それが『夢を叶えた7人』と呼ばれるようになった事件だ。
3ヶ月前、2月の上旬の3日間に起こった事件は、未だに犯人は捕まってない。
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