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「確かにそれはツラいわね。じゃあ何かサインを作りましょう。その日の放課後話すというサインを。」 サインか………。 なんか妙に子供っぽいけど…、まぁあったほうがいいのは確実だからな。 木々崎を見たら真剣に考える様だったので、オレも考えることにした。 うーん………、どんなのがいいかな~? 木々崎が授業で発言。……はムリだな。アイツがするはずがない。 木々崎がオレに話しかける。……もムリだな。まずオレが怪しがられる。殺人鬼の仲間に見られるのは嫌だ。 木々崎がオレの机を蹴る。……んー、これなら毎日話すワケではないんだから偶然でいけるだろう。 でもなんとなくオレが悲しい気がするから却下だな。 つかオレがやるサインじゃないんだから木々崎が考えるべきだろう。 「おい、木々崎。なんかいいサイン思いついたか?」 「逆にあなたはなにか思いついたかしら?」 うん。何故か逆に聞かれたぞ! おかしいだろ!! でもまぁ答える。 「3つくらい考えたけど、発言する時間がもったいやないほどのアイデアだ。」 「そう。使えないわね。ホントに私はあなたに事件について話していいのか不安になるわ。」 けっこうヒドく言われてしまった。 まず、アイツが質問に質問で返したのがおかしいんだけどな。 「で、お前はなにか思いついたのか?」 「ええ、思いついたわ。大体100個くらいのアイデアはあったのだけれど、1番のアイデアだけを言うことにするわ。えーっと………アナタの机の角を、私が偶然を装って蹴る。というのは名案じゃないかしら。」 …………………、 コイツ絶対数個しか思いつかなかったな! つか、オレの失敗案と一緒って なんでそんなアイデアで堂々としてやがんだよ!!お前は。 ………………まぁ、オレの失敗案であってもアイツの失敗案ではないからな。 やるのはアイツだ。 「じゃあ、それにしよう。」 「そう。じゃあまた今度、私が話したくなった時に。さようなら。」 「ああ、じゃあな。」 木々崎はさっさと教室から出ていった。 それから数分、いろんなことを考えたが、そんな短時間で何かが見えてくるわけはなく、諦めて家へと帰った。 人間の悩みなんて答えはないんだ。 何かを妥協して、残った選択肢を答えとしてるだけなんだから。
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