アリシア・ランドルフ編

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 それから16年という月日が流れた……。アリシアはとても美しい少女に育っていた。ジーンは、この歳になったアリシアに……本当の事をすべて話しました。 「う、うそ……違う! 信じない! 私、私はママの子だもんっ!」 「アリシアっ!」  そう叫ぶとアリシアは森の奥へと駆けて行った。  ”どうして? どうして私を捨てたの? どうして私の人生を勝手に決めたの? ”  アリシアはそんな心の叫びでいっぱいだった。  走り着いた先は、自分の捨てられた泉だった……。するとそこに一人の青年が立っていた……。  容姿はとても美しく、髪は肩位までの銀色、目は澄んだ水の色で、肌はとても白かった。 「!?」  青年は、アリシアに気付くと……とても驚いた表情をし、アリシアに近付いて来た。  アリシアの目の前に立つと、首を振り少し心を落ち着けたようだった。そして優しい声で、話しかけた。 「どうしたんだい? 泣いているのかい?」 「……ううっ」  そんな優しい言葉に思わず涙が溢れ泣き崩れてしまった。青年は何も言わずアリシアの横に座り、頭を撫でる……そして詩を歌い始めた。 ”-遥か昔の云い伝え-泉の森の精霊は――優しき慈愛で我らを包まん――……。”  アリシアは、そんな詩に懐かしさが込み上げいつしか涙は治まっていた。 「泣き止んだかい?」  コクッと頷くアリシアに青年は優しく、微笑んだ。 「すみません……もう大丈夫です……。」  照れながら、自分の頭に置かれた青年の手を見上げる。 「あ、ごめん!」 「ふふっ……あははっ……面白いお兄さん……」  そう言って無邪気に笑うアリシアを見ると、何故か青年の目から涙がこぼれた……。 「ど、どうしたの?」 「いや……昔、亡くなった妹に……とても似てたから……」 「……」 「すまない……あ、そろそろ時間だ戻らないと……」 「ねぇ! また会えないの?」  アリシアはとっさにそんな言葉を言い放っていた……。恋愛感情なのかそうではないのかは解らないがこの青年に対し、何らかの暖かい感情を持ってしまったからだ。 「ふふっ……明日ならまた此処に来るよ」  そういって青年は、村の方へと帰って行った。
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