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――次の日――
ジーンの元へ帰らなかったアリシアは、泉の傍の木にもたれていた。昨日の青年が早く来ないかと待ち侘びていたのです。
「あのお兄さんの雰囲気…とても優しかったなぁ…」
「そうかい?ありがとう」
一人呟いていたアリシアの背後から、声が聞こえてきた。
「うわぁっ! び、びっくりした!」
「ごめんごめん」
そう言って泉のほとりに座り込んむ。アリシアもその横へと座り込みました。
「ねぇ、お兄さんは何をしてる人?」
「僕の名前は、”ウェンデル”ウェルでいいよ! 今は魔法騎士軍の教師をやってるんだ! 君の名前なんて言うんだい?」
「じゃウェルね! ウェルは魔法使えるの? 凄いなっ! 私はアリシア! ”アリシア・ランドルフ”よ!」
「アリシア…」
ウェンデルは、一瞬時が止まったように驚いた。似ているとは、思ってたが目の前に居るのが本当に”妹”だったからだ。
「ランドルフって言うのは、私の親の名前らしいんだけど……その親がねー……本当に許せなくて!! って聞いてる?」
「え……あ、ああ! 君にも魔法は使えるよ?」
まるで聞いてはいなかったが、事情は知っている、まさにその場に居たのだから。
「まぁいいや! くだらない話しだし! って私にも魔法使えるの?」
キラキラとした瞳で、ウェンデルに訴えかける。ウェンデルは頭の整理が出来たのか、冷静に戻った。
「うん、使えるよ!……じゃあ一つ教えてあげようか?」
「ほ、本当!?」
「本当は生徒以外に教えるのはダメなんだけど、君には特別だよ?」
そう言って眼を閉じると、泉に手を翳(かざ)す。
-泉の精霊よ-我が呼び声が聞こえるなら-答えよ!!-
”ウォーティア”
呪文を唱えると……泉から無数の水の精霊達が飛び出した。
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