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春、三月──
晴れがましく迎えた中学校の卒業式で、私はおよそあり得ない事態に遭遇した。
式そのものは、滞りなく終わった。
問題は、その後の卒業生退場の行進、その最中に起こった出来事だ。
あろう事か、私は、突然現れた闖入者に卒業証書の入った筒を奪われた。
唖然とする私を尻目に、犯人は猛然と走り去った。
突然の事態に、私は何も出来ず、犯人の逃げる後ろ姿を目で追うのがやっとだった。
しかし、その後ろ姿から、私は犯人の目星をつける事が出来た。
(アイツか……何考えてるんだか!)
私は、その犯人の行動を予想し、これから行きそうな場所の当たりをつけて、そこへ行ってみる事にした。
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