第2章 鷹、英雄と出会う

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混乱の最中、黄巾党の頭の下に一人の部下が駆け寄る 黄巾「ど、どうするんすか?頭ぁ」 黄巾頭「クソっ!どうするもこうするもねえ!退却だ!退却するぞ!これじゃあ命が幾つあっても足りゃしねえ!」 そう言うや否や黄巾党の頭は一目散に逃げ出した 黄巾「あっ!頭ぁ!」 夏候惇「逃がすか!」 夏候惇が馬を走らせ逃げる頭を追う 2頭の馬は瞬く間に砂塵の中に消えて行った あの頭が殺されるのも時間の問題だろう 黄巾「お、お頭ぁ~!置いてかないでくだせえ~!」 周囲の黄巾党の奴らも散り散りに逃げて行く いかにも烏合の衆なこいつらじゃ、やはり頭がいないと、集団すら維持出来ないか そんな中、馬に跨がった派手な姿の少女が一声上げた ???「逃げる奴らは全員引っ捕らえなさい!奴らの犯した業、決して軽くはないわ!」 命令が下るとすぐさま官軍の兵士は黄巾党の奴らを捕らえていった 手持ち無沙汰になった俺は刀についた血をはらい鞘に納めた ところでお前は頭を追わないのかって? ほっといても殺られる奴をわざわざ追う必要は無いだろう さて、これからどうしたもんかと考えていると後ろから蹄の音が近付いて来た そして俺の背後で止まる …………面倒なことになる、そんな予感しかしないな ???「そこの貴女、少しいいかしら」 その声は静かに、だがとてつもない存在感で俺の耳に響いた 俺が振り返るとそこには黒い馬に跨がった、先程の少女がいた 鷹斗「…なんでございましょう」 自然と言葉が丁寧になる 彼女の明らかに他とは異なる存在感や雰囲気が俺にそうさせた それに小説等からのイメージだが、派手な服装や堂々とした態度からそれなりに高い地位にある者のような気もする 膝でも着いた方がいいだろうか そんなことを思っていると少女はクスクスと笑い出し ???「そんなに固くならなくていいわよ、「黒い風」と呼ばれる貴方の奮戦を見て声を掛けてみたくなっただけよ」 と言った そして続けざまにとんでもない人名を口にする ???「先ずは自己紹介しましょう、私の名は曹猛徳、貴女は?」 鷹斗「っ!!………東城…字は戒炎です…」 曹操「では東条、貴女、私達の軍に入りなさい」 この華奢な少女が乱世の奸雄曹操……… 思わず目の前の少女に俺は息を飲んだ そしてこれが、俺と歴史的な武将とのファーストコンタクトだった
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