2人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなこんなあって、俺はうやむやなまま少女と一夜を過ごすこととなり、次の日の朝。今日は土曜日か。ちなみに、住んでる家が広いのに俺のベッドで少女と二人で寝たのはまた別の話だ。
「助けるとは言っても、どうしたらいいんだ?」
「まずは、あたし達の世界について覚えて、お願い」
「こっちとしてはまず生きる者としてのマナーを覚えて欲しいんだがな。…不法侵入だぞ」
そんな事をつぶやきつつ俺は耳を傾ける。
「一般人にはわからないとは思うけど、この国はフォッサマグナっていう境界線で分かれた東西であたし達錬金術師が戦ってるの」
「ここは…横濱だから東軍だな」「そう。東軍のAlcemist.東京に本部があって、総統が居るの。横濱には救護班が滞在してて、ユーくんにはそれの手伝いをして欲しいの」
いきなりまともな顔をして話して来たので、聞かなくてはいけない気はしたが何となく信じられないのはこの少女のことがまだよく分からないからか。
「まぁ、それはわかったとして…」
「とするなーっ!これはめっさ重要なんだからなっ!」
「だから…俺はお前の名前が知りたいだけなんだが…」
「名前ぇ?知らないっ!」
「…はぁ」
確かに頼みに来ているから必死になるのも無理ないが、頼まれる側として困るんだが。知らないって…。
「救護班って言ったって、錬金術なんてできないぞ。どうすんだ?」
「大丈夫。簡単だから」
簡単なら錬金術師同志でやってほしかったのだが、ホントに。まぁ来てくれたなら。
…やるしか無いだろ。
『選ばれし者』としてな。
「簡単とは言え、高度な技術は無いといけないだろ」
「詳しくはこれを見といて」
渡されたのは一冊の冊子。『冒険の書』…じゃ無くって『使師の書』か。
俺はその冊子をパラパラとめくりながらあるページに目を付けた。
『一般人又は使師における使師の救護方法』か。ざっと読んでみよう。
最初のコメントを投稿しよう!