第一話

2/3
前へ
/19ページ
次へ
  「…」 私は桜月ーオウヅキーと名乗った男の人に、覚えている事を全て話した 「お前には名が無いのか…」 暫くの沈黙の末、桜月さんはそう言った 「あ…はい…」 正確には覚えていない…だけど、どちらも似たような意味… それに私には知るような術は無いのだ… 「あの…先ほどから気になってたんですが…貴方が先ほどから吸っているものは何ですか…?」 「ん? 煙管だ、知らないのか?」 「煙管…あ、はい…」 ゴロンと横になり、白い煙をたてる光景は私にとっては異質であり、新鮮でもあった それよりも、煙管というもの以外にもこの家には私が知らないものが多い 幸い、言葉だけは無理矢理覚えさせられたから良かったけど… 「お前は今日から、夢羽(ムウ)だ!」 「夢羽…?」 「そうだ、夢の羽で夢羽… 我がお前を引き取ろう 行き場が無いのだろう? 丁度暇だったんだ」 「引き取る…」 こんなに嬉しい事は無い でも素姓が分からない私を引き取ってくれるなんて…
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加