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「…」
私は桜月ーオウヅキーと名乗った男の人に、覚えている事を全て話した
「お前には名が無いのか…」
暫くの沈黙の末、桜月さんはそう言った
「あ…はい…」
正確には覚えていない…だけど、どちらも似たような意味…
それに私には知るような術は無いのだ…
「あの…先ほどから気になってたんですが…貴方が先ほどから吸っているものは何ですか…?」
「ん?
煙管だ、知らないのか?」
「煙管…あ、はい…」
ゴロンと横になり、白い煙をたてる光景は私にとっては異質であり、新鮮でもあった
それよりも、煙管というもの以外にもこの家には私が知らないものが多い
幸い、言葉だけは無理矢理覚えさせられたから良かったけど…
「お前は今日から、夢羽(ムウ)だ!」
「夢羽…?」
「そうだ、夢の羽で夢羽…
我がお前を引き取ろう
行き場が無いのだろう?
丁度暇だったんだ」
「引き取る…」
こんなに嬉しい事は無い
でも素姓が分からない私を引き取ってくれるなんて…
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