第二話

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  「次の実験体は?」 「次は大丈夫でしょうかね」 「まぁ、失敗したら破棄するまでですよ」 嫌な記憶程、忘れたい記憶程 脳裏にしっかりと刻まれている 「っ…ハァハァ…」 荒い呼吸を落ち着け、自分の手を見つめる 自由を手にしたのに…… 心はまだ重い… 桜月が貸してくれた『着物』という物を着てみる 着る方法は昨日、桜月に習った こういうものは『着付け』と言うらしいけど 『姿鏡』というもので再度、自分の容姿を確かめる あの時の背中の激痛は一体、何だったのだろう…… 不意によぎった疑問を、必死に振り払い、私は部屋を出た 「わぁ……」 出た瞬間、心地よい風と共に散る花びら 思わず声が出る 桜月は『桜』だと言っていた 桜月の家には桜や様々な花が咲き誇っている 「おはよう、桜月」 「起きたか、夢羽 ゆっくり眠れたか?」 桜月は昨日と変わらず、全く同じポーズで煙管を吸っていた 『長椅子』にこのポーズでいるのが、お気に入りだと桜月が言っていた 「うん」 少し遅れて返事をする 「そうか、なら良かった とりあえず飯にするか」 私は頷いた こんなに幸せなのだから、あの頃の日々は早く忘れたい と私は密かに願った
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