プロローグ

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炎が一際(ひときわ)大きくなった。 このまま。 このままこうしていれば、周りの人々のように意識を失う。 後は死の世界に誘(いざな)われるのを待つだけ。 目を閉じようとした瞬間、視界に入った黒い人影。 倒れている人々の生死を確認しつつ部屋の奥へと進んでくる。 怖い。 死を受け入れたはずなのに。 助かるかもしれない。 希望が現れた途端、恐怖が体を駆け巡る。 怖い。 怖い。 怖い。 だから・・・・・・。 黒い影が指し伸ばしてきた手を。 掴もうと思い切り手を伸ばしていた。
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