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「ほらよ。」
日の光に反射した金の髪はとても綺麗な色をしていて、目の前で手を差し出している彼をよそに、私は口を閉じることすら忘れてその色に見惚れていた。だから、彼が次に取ろうとしている行動が、私の目にはこれっぽっちも入ってこなかった。
「……あぐっ!?」
自分のあまりに間抜けな声と、口に広がる酸味の効いたレモン味が、意識を彼に向かせた。……が、それは直ぐに自分の口に含まれているものへ向けられる。思わず、んーっ、と唸り声をあげてしまった。
「眉間にシワ寄ってンぞ。」
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