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「やぁ、シズちゃん。いつも御苦労様。本当に懲りないよね、そんなに俺の邪魔が楽しい?」
「楽しいワケねぇだろうがノミ蟲。てめぇこそ毎回懲りずにご苦労なこった、そんなに俺に潰されてぇか、あ"ー?いーざーやーくんよぉ。」
わざと間延びされた名前が若干気に障ったが、ここで突っ込んでいくほど馬鹿ではない臨也は、左手の袖から隠しナイフをちらつかせつつ次の行動を頭に廻らせていた。もちろんその間も相手に注意を向けたままである。そうして、たった数秒の間に幾通りものパターンを考え出した臨也は、行動に移すべく足に力を込めた。挑発し物を投げさせ、隙ができたところで逃げる作戦だ。いつもなら、ナイフで斬りかかったり刺しにいくのだが、どうも右肩の調子が良くない。これはもしかしたら同級生の闇医者に世話にならないといけないかな、などと思ったりもしていた。---ここで気を抜いたのがいけなかった。挑発の言葉を発しようと口を開いた臨也の目の前に、見慣れた金色がひろがっていた。
「! なっ……う、あ!」
-----次の瞬間、折原臨也の身体は宙を舞っていた。
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