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俺は死ぬんかな…、と1人呟いた。
それが聞こえていたらしくひなは「死なんよ」なんてわざとらしく笑いながら返してきた。
たくさんの抗がん剤治療を受けてきたけど一向に良くなる気配もないし正直もううんざりだ。
「ひな…俺はもうだめかもしれんな。」
窓から外を眺め冗談ぽくそう呟いてみた。
いつもならここで馬鹿みたいに大きな声で怒鳴ってくるはずだった、なのに今日に限ってはそれが無い。
不安になってひなの方を見れば穏やかな表情をしているひながいた。
「きみはよう頑張ったからな。もう、疲れたよな…?」
泣くのを必死に我慢しているらしく声を震わせながら俺の頭を優しく撫でてきた。
その手が温かくて優しくて、気付いたときには涙が一筋零れていた。
一度出てしまえば涙は止まらずぼろぼろと溢れ続けた。
「ひなっ…!ひ、なぁ…!」
いきなり怖くなってきてひなを呼び続けた。
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