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さっきまで、街に居たはずだ。
太陽の昇った、昼過ぎの、夕方に差し掛かった街に居たはずだ。
さっきまで、歩いていたはずだ。
人通りがそんなに多くない。どこにでもある交差点を歩いていたはずだ。
さっきまで、人と話していたはずだ。
ついさっき、ちょっとしたことがあって、見知らぬ誰かと話していたはずだ。
なら、これは何だ?
あの空高く浮かぶ白い雲ですらやすやすと貫きそうな馬鹿でかいビル郡はなんだ。
辺りに広がるぐにゃぐにゃとして動く白い塊達はなんだ。
今目の前にいる人間は、女は、一体誰だ。
「何を……!!!」
声が掠れる。それでも無理やり、絞るように捻り出す。
目の前で当たり前のように立ち続け、当たり前のように見下している女に向かって。
掠れた声を、搾り出す。
「何を喰わせた…!!!?」
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