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警察署の駐車場に車を止め、
殺人課室に行くと既に皆あわただしく動いていて、
完全に遅れたウィルに課長もカンカンだ。
「ちょっとウィル!
今日はあのRYUダブシャインが来るのになんで遅れるのよ!」
「悪い悪い、ジミーがそのRYUダブシャインのファンだったもんで。」
「弟のせいするなんて信じられない!」
ウィルの上司であるロサンゼルス市警殺人課の課長は、
若い美女だが男勝りな厳しさのフリーデ・リトゲンシュタインだ。
その名の通りユダヤ系のドイツ人で、
祖父は第二次大戦時ナチスドイツから逃れアメリカに移り住んだ科学者、
祖父譲りの明晰な頭脳と行動力によって、
女性でしかもウィルより年下で幼さが残る容姿なのに、
上司というなんとも歯がゆい存在だ。
「てか一日署長の対応なんて広報課とかの仕事だろ、
なんで殺人課が関わらなくちゃいけないんだよ?」
「マスコミが集まってる時にこそ、
世間に我々の仕事ぶりをPRする必要があるのよ、
それくらいわからないの!?
ちょっと課長室に来なさい。」
若い女だからこそナメられまいと、
男より厳しい態度にウィルも従わざるをえない。
「ハハハ!ウィル!おまえは本当に姫様のお気に入りだな!!」
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